思考の足あと

何を考え、感じていたのか。

おめでとう

にじさんじの夢追翔の10万人放送を見た。初めは4人のライバーによるオフコラボ企画を謳っていたのだが、実はそれはダミー企画で、ドッキリで夢追のチャンネル登録者10万人をお祝いするという流れだった。この企画の面白いところは、視聴者もドッキリさせられる側だったということだ。

 

俺はこの動画を見てるうちに、言いようのなく淀んだ感情に支配された。

俺はこのキラキラした空間に入りたくなったんだ。

そう書くと、純粋な憧れのような温かいものを想起するが、現実はそんなに綺麗事でできてはいない。これは動画という窓を通して俺に供給されていいものじゃない。

人は、癒しや笑い、知識欲のような欲望を満たすために動画を見るだろう。逆に言えばこれら動画で提供されるコンテンツは、見ることによって解消できる欲求じゃないといけない。動画で解説されれば俺らは新しいことを知れるし、可愛い動物を見れば癒されもすると思う。

じゃあ俺はこの動画を見て、一体なんの欲求が解消されたのだろうか?答えは何もない。いや、本当は心のどこかで自分さえも認知していない欲が、勝手に満たされたのかもしれない。でも、俺が管理しているものの中では、渇きはすれど、満たされた欲は存在しなかった。

俺はこの動画を見て、ライバー達はなんて楽しそうにするんだろう。この人たちといたらきっと楽しいんだろう。そう思った。でもそれは一切漏れなく不可能なんだ。この分たれた空間には何の余地も無い。何の余地も無いんだよ。確定的に決定的に断絶している。

別にライバーとの特別な関係を望んでいるわけではない。俺も人生こんな楽しい所で生きてみたかっただけだ。

こいつらをみてると、対照的に今の自分がどれだけ惨めかを思い知らされる。学校に行って帰って寝てを繰り返す日々。当然俺の周りもみんな似たようなものだから、心は順応した振りをして何も感じなくなっていた。それでもまざまざと見せつけられて無視できるほど、俺の心は死んでいなかった。

この動画は俺に供給されていいものじゃない。俺の欲を掻き立てるばかりで、何も満たしてくれない。俺は何も満たされない。

この動画は、まさしく毒だ。

 

夢追、10万人おめでとう。

貴方と会うことのない世界から