思考の足あと

何を考え、感じていたのか。

サイコーとコロコロ

雑多に欲望を散らした部屋は自身の脳内を映した鏡のようだ。ようやくと言ったように重い腰を挙げると、転がったガラクタを避けながらカーテンをそっと開ける。眼前に広がる静謐の世界。まばらな灯りが、静かに息をする街。ふと後ろから大きな暗闇が街に迫っているのが見えた。さながら津波の様な、力量を持った黒い奔流が、ひとつひとつと街の明かりを飲み込んでいく。今、この街で一番大きなビルが飲み込まれた。濁流のその先に広がる暗黒の海原は、ただ一切の光も音もなく、静かに佇んでいる。うねりは少しずつこちらへ近づいてくる。建物を押し流すでもなく、ただ飲み込みながら、気づけば私の部屋の瓦礫のふもとまで押し寄せていた。